デザインと耐震にこだわる静岡県の建築事務所「相場ヒロユキ建築事務所」です。

コミュニティースペースを備えたカフェ。

2014年、初夏。
相場ヒロユキ建築事務所を訪問し、最近の状況を伺った。
すでに引き渡しが済んだ住宅の話や遠方から家を建てて欲しいと声をかけていただいた話、これから着工する物件の話、
はたまた講演活動や法人会活動など、
相変わらず八面六臂の活躍ぶりが感じられた。
そんな話の中で触れられた、カフェ建築の案件が興味深く、
密着取材をお願いした。

(取材・文/エンジェルデザイン)

厳粛に行われた地鎮祭。


工程の詳細は画像をクリック

この日のために、天候までが味方をしてくれた
2014年8月。
日本の各地では観測史上最高の降水量が報告されるほど
連日雨に見舞われた異常気象月だった。
地鎮祭当日も天候が心配されたが、開始前には朝からの雨も上がり、
しめやかに地鎮祭が執り行われた。
厳粛な中にも期待と希望があふれるような、温かい地鎮祭だった。

先端技術「HySPEED工法」による地盤改良工事。


工程の詳細は画像をクリック

耐震工事に精通した相場のノウハウがここでも光る
地鎮祭翌週より、基礎工事に先駆けて地盤改良工事が行われた。
今回採用された地盤改良工事は「HySPEED工法」という新技術で、
コンクリートや鉄など経年劣化で朽ちたり錆びたりする素材を使わず、
縦抗に天然の砕石を流し込んだパイルで地盤を強化する。
さらに砕石パイルに圧をかけて掘削壁にも食い込ませ、
パイル周辺の地盤も同時に圧密を促進する。
地震の衝撃に強く液状化対策にもなるばかりか、
環境にも優しくローコストという画期的な工法だ。
耐震工事に精通し、いくつもの現場を経験してきた相場のノウハウが
ここでも生かされている。

基礎の元となる砕石の敷き詰め作業。


工程の詳細は画像をクリック

地盤改良工事を終え、基礎工事へ
8月下旬、地盤改良業者から無事に業務を引き継いで、基礎工事に取りかかった。
基礎の元となる部分に砕石を敷き詰め、ランマーでしっかりと締め固める。建物の負荷が地盤に均等に伝わるよう、適切な範囲・厚みを計算し丁寧に施工が進められていた。

防湿シートで家屋を湿気から守る。


工程の詳細は画像をクリック

基礎の底盤部分が幾重もの防湿シートで覆われた
砕石の敷き詰め作業から2日後、建設予定地は基礎部分にコンクリートを流し込む準備段階に入っていた。
敷き詰めた砕石の上に何枚もの防湿シートを重ね、地面からの湿気が家屋に届かないようにする。隙間ができたり破れてしまったりしないよう、一枚一枚に細心の注意を払いながら作業をこなしていく。

コンクリート打設のための配筋工事。


工程の詳細は画像をクリック

建物の基礎部分を作る非常に重要な工程
作業はいよいよ建物の基礎となる部分の制作段階に入った。
基礎の底にあたる底盤に鉄筋を組んでいく。組んだ鉄筋同士は結束線で固定され、次の段階ではコンクリート打設作業が行われる予定だ。
配筋が終わったら、第三者機関が鉄筋の配筋検査に入る。鉄筋の位置や間隔が設計図書と一致しているかどうかをひとつずつ地道に照合したり、ゆがみがないかを確認したり、その他多数のポイントを厳しい目で確認していた。

人も作業車も集まる大がかりな工事。


工程の詳細は画像をクリック

基礎工事も終盤にさしかかってきた
9月初旬、コンクリート打設作業が行われるとあって、現場には作業車が集まっていた。
生コンミキサー車から圧送車に移されたコンクリートが、ポンプを通して基礎部分へと流し込まれていく。バイブレーターで余分な空気や水分を取り除きながら締め固めを行い、打設作業が進められていった。
その後は、隅々まで行き渡らせたコンクリートを平滑にならすための均し作業が入る。これは表面のひび割れなどを防ぐためにも非常に重要な工程だ。作業が完了したら、コンクリートの硬化具合をみてパワートロウェルディスク盤(機械ゴテ円盤)で表面の仕上げ作業を行っていく。
仕上げまで完了したら、コンクリートを乾燥させるための養生期間を設ける。期間はおよそ2日ほど。次の立上り部分のコンクリート打設を終えたら、いよいよ基礎工事も終了だ。

立上り部分のコンクリート打設に向けて。


工程の詳細は画像をクリック

基礎立上り部分の型枠の設置
底盤部分のコンクリート打設が終了し、立上り部分の打設を行うための型枠設置に取りかかった。住居の土台が載る場所や柱が立つ場所など、重みがかかる部分に立上り基礎を作る準備を進めていく。
立上り部分のコンクリートの内側には鉄筋が配置されているが、型枠に鉄筋が近すぎるとコンクリートが割れる原因になってしまうため、適度な距離が保たれているかなど細かくチェックをしながら作業が行われていた。

型枠にコンクリートが流し込まれた。


工程の詳細は画像をクリック

いよいよ基礎工事も最終段階
先日設置した型枠にコンクリートが流し込まれた。底盤部分のコンクリートの打設と同様に、バイブレーターを用いて締め固めながら施工を進めていく。
表面をならした後、上面を平らに仕上げるため、流動性の高いセメントであるレベラーを流し込む。
レベラーの流し込みが終了したら、底盤部分同様養生期間を置く。夏場はコンクリートの乾燥が早いため、3日後には次の作業に取りかかれるそうだ。

型枠が外され、完成した基礎部分があらわになった。

工程の詳細は画像をクリック

建物直下全面に板状の鉄筋コンクリートが敷かれた
9月中旬、底盤一面が鉄筋コンクリートからなる『べた基礎』が完成。建物全体を支えてくれる、力強い基礎ができあがった。
次の段階では『独立基礎』の施工に入る。これは、独立した柱の下などに単独で設けられる基礎のことだ。
地鎮祭から1ヶ月、ひとつの建物がまるで成長するように日々姿を変えていく。

独立基礎も完成し、基礎工事は全て終了。


工程の詳細は画像をクリック

立派な土台部分が無事に完成した
『べた基礎』に続き『独立基礎』の施工も完了。基礎工事というひとつの大きな工程に無事区切りがついた。1ヶ月ほど前には何もなかった土地に、立派な基礎ができあがった。
次回からは、主要な柱や梁・棟木の組み上げに入る。こちらも建物の骨組みを作る、非常に重要な工程だ。

関係者が一同に会し、上棟式が行われた。


工程の詳細は画像をクリック

職人への感謝と、工事の安全を願って
基礎工事が完了して一週間経った9月下旬、上棟式が執り行われた。
朝の早い時間から施工を開始し、柱を組み立てていく。骨組みだけではあるが、立派な家の形が見て取れる程にまで工事が進められた。
骨組みが出来上がったところで、上棟式が行われた。建物の無事を願う施主とその関係者、職人らの温かな気持ちが感じられた上棟式だった。

家の形が日々鮮明になっていく。


工程の詳細は画像をクリック

屋根部分はすでに完成間近
上棟式を終えた9月終盤、屋根部分の工事が進められていた。
垂木の上に野地板を張り、ルーフィング(防水シート)を敷いていく。その後仕上材を施工して屋根工事は終了だ。
さらに、筋交い(柱と柱の間に取り付ける補強材)の施工も進行していた。上棟式から間もないが、家は日々順調に完成に近づいているようだ。

建物全体が工事用シートで囲まれた。


工程の詳細は画像をクリック

アンカーボルトなどの留め具で柱を結合していく
建物の周りに建築工事用シートが張られ、安全面により一層気を配りながら作業が進められた。
組み立てた柱を、ボルトなどを使って土台や梁としっかりと緊結し、建物の骨組みを完成させていく。柱の緊結が終わったら、今後は外壁の施工が行われる予定だ。

より一層はっきりとしてきた家の形。


工程の詳細は画像をクリック

木工事が順調に進められていく
10月に入り、外壁工事に差し掛かった。
外壁部分の下地を作るため構造用合板が施工され、外壁面が徐々に合板で覆われていった。
壁が取り付けられたことによって、家らしさがより増したように思える。 現場にはすでに次の工程で取り付け予定の窓枠が用意され、工事の順調な進行具合が感じられた。

目まぐるしく変化する家の姿。


工程の詳細は画像をクリック

窓部分を切り抜かれた外壁が家らしさを強調する
外壁下地の施工も進み、外観から家の形がはっきり分かるほどになった。現場には屋根の仕上げ工事で使う屋根材が運び込まれ、屋根の完成が間近であることを物語っていた。
地鎮祭からおよそ2ヶ月、建物は日に日に姿を変化させている。

屋根部分の仕上げ工事が行われた。


工程の詳細は画像をクリック

屋根工事の最終段階である屋根材の取り付け作業
木工事と平行して、屋根の仕上げ工事に取り掛かった。
屋根材が次々と屋根の上に運ばれていき、それを一枚ずつ固定しながら敷き詰めていく。徐々に屋根が完成形に近づいていった。
同時進行の木工事も順調に進み、建物裏側の窓や勝手口などの取り付けも完了していた。

工事用シートが外され、家の姿があらわになった。


工程の詳細は画像をクリック

屋根工事が終わり、また一歩完成に近づいた
10月も中旬に差し掛かり、工事用シートが外された。屋根と外壁下地が完成した家の外観がはっきりと確認できる。
窓枠の設置が完了している部分も数カ所あった。今後はその枠にガラスをはめ込む作業が行われる。工事は滞りなく進んでいるようだ。

家全体に透湿防水シートが貼られていく。


工程の詳細は画像をクリック

雨漏りを防ぐためにも重要な工程
透湿防水シートの施工が始まり、また家の外観ががらりと変わった。
先日施工された外壁下地の上に、重ね代を作りながらシートを施工していく。
先日設置した窓枠部分にはガラスがはめ込まれていた。日を追うごとに家の姿が見る見る鮮明になっていく。

軒裏天井にボードを打っていく。


工程の詳細は画像をクリック

屋外部分もまた一歩完成へ近づく
軒裏天井部分にはボードが打ち付けられていく。
全体的には白いボードが使用されている。これは間接的に室内が明るくなるように、という意図からだろう。そして、玄関真上のお客様をお迎えする部分には木目が見えるボードが使用された。普段あまり気にしないようなところにまで、相場ならではの「おもてなしの心」が光る。

発泡断熱材を吹き付ける。


工程の詳細は画像をクリック

触った感じは細かい粒子の発泡スチロールのよう
屋根裏面に発泡ウレタン系の断熱材を吹き付ける。
梁や柱はビニールでマスキングされ、その間を埋めるように丁寧に吹き付けていく。
そして表面が均一になるように盛り上がった部分をそぎ落とすようにならす。ずっと上を向いて腕を上げたまま続けていくという、職人にとっては肉体的にも大変な作業であるように見受けた。

杉の木の天井ができあがっていく。


工程の詳細は画像をクリック

木目の優しさ、温もりが心地よい
屋根裏面に吹き付けられた発泡断熱材の上に杉の木を貼っていく。
一般的によく目にする天井材やクロスは使わず、杉材の木目をそのまま活かしたデザインだ。
森林浴、ウッドデッキ、ログハウス……。「木」と触れ合うと、人は何故か落ち着き癒される。相場が建てる家に共通して感じさせられる優しさや温もりは、こんなところから伝わってくるのかもしれない。

窓辺のカウンター席。


工程の詳細は画像をクリック

お客様への思いやりが、ここにも
店内では、窓に向かうカウンターテーブルが取り付けられはじめた。
窓の高さにそろえられたカウンターテーブルの天板は、
その場で寸法を合わせてカットされ、側面や角が仕上げられていった。
プレカットや既製品ではなく、現場で仕上げていくスタイルにも、
相場のきめ細やかなこだわりを感じる。
さらに、目線に合わせて設置された窓については、
ゆっくりとした時間を過ごしてもらいたいという相場の思いが込められていた。

屋内の施工も進んでいく。


工程の詳細は画像をクリック

日々実像があらわになっていく
店内の施工がどんどん進んでいく。厨房は厨房らしく、客席は客席らしくなっていく様は、見る者全てをワクワクさせるものだ。
店内の壁面にはすでに防音断熱材が埋め込まれ、その上に板が張られていく。この壁板に洒落た壁紙が貼られていくのだろうと想像したが、後日左官職人によって壁が塗られるのだという。
一方、2階部分の壁面も防音断熱材が埋め込まれ、次の工程を待っている。

厨房周りの施工が進む。


工程の詳細は画像をクリック

徐々に姿が見えてきた
厨房の施工がさらに進んだ。要となるエリアが確立されることで、飲食店らしさが見えてきた。デシャップカウンターになるのだろうか、客席と厨房とを仕切る壁に小窓ほどの高さの空きがある。この壁の客席側には上下に造り付けの棚ができるらしい。厨房機器が備え付けられる位置を想像できるほど、その姿が見えてきた。

2階部分を初めて取材する。


工程の詳細は画像をクリック

ワクワク感に包まれる空間
上棟式から約2ヵ月。
これまで外観や1階部分を取材してきたが、この日は初めて2階を取材した。
まだこれからいろいろな手が加えられる、途中経過もおそらく前半戦だろう。
それでも、そこは見る者の想像をかき立てるワクワク感に包まれていた。

内装工事が進む。


工程の詳細は画像をクリック

より家らしく、店らしく
前回の取材から10日が経過。
屋内にはまだ足場が残るものの、内装工事が進んでいた。
二階へ続く階段が取り付けられ、
それぞれの箇所でより家らしく、店らしく、
完成へと向かっている様に、ときめきを感じた。

外装工事もまた、進んでいる。


工程の詳細は画像をクリック

仕上げ段階にさしかかる
急激に冷え込む日が続く師走上旬。
内装ばかりでなく外装もどんどん進んでいく。
着工当初から変わらないのは、
職人達による丁寧な仕事が細部まで行き届いている点だ。

間もなく完成。


工程の詳細は画像をクリック

各所が完成に近づいている
全回の取材ではタイル貼りの真っ最中だった浴室が
ほぼ完成して白く輝いていた。
厨房もおおむね完成し、
見ているだけでオーナー夫妻や来店客の笑顔が想像され、
胸が高鳴る。
12月27日(土)・28日(日) 9:00~17:00、いよいよ完成見学会を迎える。

美装。


工程の詳細は画像をクリック

最終段階の仕上げ工程
各所が完成し、
いよいよ引き渡し前の最終仕上げ工程として
美装作業が行われた。
清掃や磨きはもちろんのこと、
この工程で
普通なら目が届かないような裏側部分まで
厳重なチェックが施される。

人が、訪れる。


店内の様子は画像をクリック

クリスマスパーティー、そして内覧会
12月25日、プレオープンイベントとして
クリスマスパーティーが行われた。
そしてその週末、27日・28日には
内覧会を開催。
クリスマスパーティーには50名以上の人が、
内覧会に至っては300名以上の人が訪れた。
年明け1/23(金)の開店からは、
きっと多くの人が毎日訪れる憩いと癒しのスペースになるだろう。